山下新太郎《渡邊夫人の像》

1947(昭和22)年
油彩・キャンバス、43.8×34.5㎝

23歳の峯子が描かれています。額縁は、山下がフランスから持ち帰ったルイ13世様式の古い額です。山下はこの額縁を非常に大切にしており、絵を装着せず空のままアトリエの壁にかけていたそうです。同じようにこの額が好きだった峯子は、この額に入れるための絵を描いてほしいと頼み、そこで完成したのがこの作品です。白を基調にしたこの作品には、ほとんど彩色が施されていません。峯子の肌も衣服も白く、背景の白色の下地には金泥が施され、神秘的な雰囲気を醸し出しています。この作品が描かれた頃には峯子は未婚でしたが、結婚後に、峯子の夫がこの作品を気に入り、その後もらい受けたため、作品名が《渡邊夫人の像》となっています。