目黒区美術館では、日本の近代から現代にいたる美術史の形成と発展を理解するうえで有益な、日本人の作家が海外で制作した優れた作品を収集してきました。  1881年生まれの山下新太郎は、東京美術学校を経て、1905年にフランスに留学します。はじめラファエル・コラン、次いでフェルナン・コルモンに学び、サロン出品を重ね、諸国を漫遊し、1910年に帰国します。  2018年度、山下の三女である渡邊峯子氏より、山下の作品20点と松田文雄の作品1点の計21点の作品を寄贈いただきました。その中には、渡邊峯子氏をはじめ、身近な人々を描いた作品が多く含まれています。今回は「山下新太郎のファミリーポートレート」と題し、山下が親しい人々に向けた眼差しを追います。